WCSC28 アピール文 2018/3/26 ソフト名「ArgoCorse_IcSyo(あるごこるせいっしょ)」 市村豊(いちむらゆたか) Twitter:@argonworks ブログ:http://argon1.blog55.fc2.com/  使用ライブラリは「やねうら王」です。選定理由はそもそもコンピュータ将棋を始めるにあたってやねうら王nano/miniのコードを読んで改造するところから始めてそのまま使い続けている感じです。また今回は評価関数のキメラ化というのをやってみたくなったので、混ぜる元としてelmo,tanuki-,Apery,Qhapaqを選定させていただきました。また、1月のときになんか技巧もやねうら王系だと思いこんでいたため書いてしまいましたが違っていたので取り消します。すみません。  独自性として、SDT5のときの文と重複しますが、もともとコンピュータ囲碁から入ったことからモンテカルロ法の将棋への応用の文献をインターネットで読んでいて、それが「現時点から10手先の局面を評価関数で評価して元局面よりも評価値が高い場合を勝ちとする」という方法でモンテカルロ将棋をやっていたものがあったので、メインの探索には使えないとしても定跡の選択手法としてはやって見る価値があるのではないかと思って、定跡に候補が複数ある場合に二手先読みをしてその時の評価値が一番高い手の一手目を採用する、という変更を行いました。それでSDT5のときは「やねうら王」に付属していた定跡を使ったのですが、今回はfloodgateの2009-2017までの棋譜からとりあえず31手目までをそのまま定跡ファイルに変換したものを定跡として作ってみたのでそれでやりたいと思っています(棋譜を全部変換すると定跡のファイルサイズが大きくなって動くかどうか不安なので31手までにした、そのくらいだと650MBくらいですむので問題なく動作するかなと)。それで、「やねうら王」に付属の定跡では元よりも悪くなる手は入っていないとあったのでそのまま使っていたのですが、floodgateの棋譜から単純に定跡に変換したものだとそのままだと元より悪くなる手が含まれているため、「元局面を評価関数で評価して、それよりも評価値が低くなる手は採用しない」というコードを追加しました。  ちなみに、評価関数のキメラ化を少し試してみて、現状では以下のようになりました。定跡にyaneura_book3を使って16手目まで確率で動いているので全く同じ手順にはなってはないと期待しています。時間は0秒+一手あたりそれぞれ10秒ずつ加算で、名前の変え方が分からないのでsse41とsse42でコンパイルして「41」「42」の部分で判別していたのでその違いが出ているかもしれないです。ちなみに左側が41で右側が42でコンパイルしたものです。「&」が1:1でキメラ化したことを表しています。256手で勝敗がつかない場合を引き分けに設定しています。51回ずつ自己対戦させてみました。メインのPCのi5-2500Kを1コアでことこと動かしていました。左側から見て「勝ち-引き分け-負け」です。 110億生成 VS elmo(wcsc27) 39-1-11 110億生成 VS Apery(sdt5)  19-3-29 110億生成&Apery(sdt5) VS Apery(sdt5) 22-3-26 tanuki-(sdt5) VS Apery(sdt5) 21-4-26 elmo(sdt5) VS Apery(sdt5) 16-2-33 tanuki-(sdt5)&Apery(sdt5) VS Apery(sdt5) 27-6-18 aperypaq VS Apery(sdt5) 23-8-20 aperypaq VS tanuki-(sdt5)&Apery(sdt5) 18-10-23 tanuki-(sdt5)&Apery(sdt5) VS aperypaq 16-10-25 aperypaq VS tanuki-(sdt5)&aperypaq 26-6-19 aperypaq VS (tanuki-(sdt5)&Apery(sdt5))&aperypaq 25-9-17  とりあえず、「やねうら王」の最新版が公開されたのでそれにSDT5のときの旧版から移植をしたいと思っているのですが、適当にコードをコピペしてコンパイルしようとしたらエラーがたくさん出て、そのエラーの消し方がいまいちわからないので「C++は本当に難しいなー」と思って面倒くさくなって放置している現状です。なんとかやる気を出して最新版に移植したいとは思っています。評価関数にtanuki-(sdt5)&Apery(sdt5)を双方使っての自己対戦結果が、 > やねうら王旧版(手作り定跡) VS やねうら王新版(yaneura_book3) 13-4-33  だったので最新版じゃないと勝負権が無いような気がするのでなんとかやる気を出して大会までには移植したいと思ってはいます(希望的観測)。  あとはAWSの高そうなのを借りないと勝負権が無いような気がするので、そうしたいとは思うのですが、現状AWSの使い方がよくわかりません。AI竜星戦の時に会場でDeepEsperの中の人にレクチャーして頂いてアカウントは作りましたが、操作は「簡単ですよ」というほど言うほど簡単じゃないと思うのですが。あと、使い方はともかく、プランがたくさんあってどれを借りたらいいのかがよく分からないのですが。なんでみんな「サーバーを借りる」なんてマニアックな事をごく普通にできるのですかね。それは義務教育ではやってないと思うのですが。  それはともかく、まあ、テンションを上げてAWSが使えるようになって大会に臨めたら嬉しいなと希望しています。それなので「よくわからないけどAWSの高そうなのを使う」みたいな申請をしたいと思いますが、テンションが上がらなかったら「やねうら王」旧版で、パソコンはレノボのX220、OSはWindows10になりますので、そうなったらすみません。できるだけテンションを上げてやりたいとは今は思ってはいます。 ・SDT5参加とかの感想  2017/11にSDT5に参加出来ました。コンピュータ将棋の大会に参加してみたいと思っていたので参加できて嬉しかったです。その一ヶ月後の2017/12にコンピュータ囲碁のAI竜星戦に参加することが出来ました。参加できて良かったです。ただ、年末のコミケの原稿を書かないといけなかった時期でだいぶ大変でした。  両大会ともに参加していて「前から思っていたが、つくづくすごい人しかいない感じだなー」ということを改めて思いました。なんか、エース・オブ・エースがごろごろいる。私なんかが混じっていて本当にすみませんと思いました。ただ、この場所にいると本当に面白いということも改めて思いました。  それにしても、念願かなってコンピュータ囲碁とコンピュータ将棋の大会に参加することが出来て考えさせられたのは、「そういえばこれって何を目的にしているゲームだったんだっけ?」ということ。私は「これ、参加して対局したい」と思っていて「対局すること」を目的にしていたし今もしているのだが、そういえば囲碁とか将棋って「勝つこと」が暫定の目的だったのだなということを周りの参加者を見ていると思い出してきた。  ゲームの目的が何であるかということを思うのだが、私はゲームの目的は「楽しむこと」だと思っている。だから「勝ち負けはあくまでも暫定的な仮の目的であり、本来の目的ではない」ということを思っている。だって、勝つことが目的だとしたら優勝者以外のすべての人が目的不達成になる。それはかまわないけど、それで参加者が翌年から優勝者一名になったらもはや大会が成立しないんじゃないかということを思う。だから「負けたとしても楽しかった」と負けた人に思わせるようなゲームじゃないとゲームとして成立しないんじゃないかと言うことを思う。囲碁・将棋に限らず、スマホのゲームとかプレステのゲームみたいなのを新しく作るとしたら「プレイすることそれ自体に楽しさ・快感を感じさせる」ようなゲームを設計しないとダメなんじゃないかと思ってしまってしょうがない。2017/12月の囲碁のAI竜星戦で私はDeepEsperの中の人とチームを組んで出場したけど、DeepEsperの中の人が2017/3の囲碁のUEC杯で最下位になって心が折れたのでやめようと思う、という意味のことを言っていて私は本当にびっくりした。「どうしてこんなにすごいソフトを開発できるあなたがたかだか大会で最下位になった程度のことでやめようと思うのか」と。  SDT5のアピール文に書きましたが個人的に自動車のレースが好きなので、思い出すのが2006年にF1のレースにスーパーアグリF1が参戦したときのことです。「準備期間半年でのF1参戦は無謀」という状態で開幕戦バーレーンGPの予選でタイムを出した時に、テレビの解説者が「決勝レースのグリッドを獲得しました!」と興奮気味に言っていた気がする。後にも先にも、決勝レースの最後尾のグリッドを獲得することを「快挙」として言っていたのはこの時しか聞いたことがない(翌日の決勝レースで彼らはトップから4周遅れの最下位でチェッカーを受けて、「F1の決勝で完走したのが快挙」と日本のメディアは概ね肯定的だったのもつくづく印象的だった)。多分、私の勝負っていうのはこういうような勝負をしているんだろうなーということを今でも時々思う。SDT5の会場で「ここにいる人達は基本的に頭のいい人しかいない」というコメントが流れてきて、「そうなんだろうなー」と思った。だから、大会に参戦する権利を獲得することが一番の難題なんだと私は思っていた。インターネットのスラングなのかもしれないですが「0回戦負け」というやつです。基本的に「0回戦突破」が一番の難題であって、参戦権さえ得られたのならばあとはもう最下位でもそれは「快挙」だと私は思っている。  それにしてもSDT5のときに「オリジナリティ」がどうすればあるといえるのかという話になって、そういうことを考えると私もだんだんと自信がなくなってきたものである。「やねうら王」を改造したと言っても、元との違いがどの程度あるかということを考え出すと、戦闘機で言ったら「ミラージュ3とネシェル」、爆撃機で言ったら「B29とツポレフ4」、宇宙機で言ったら「スペースシャトルとブラン」くらいの違いしか無いんじゃないかというようなことを思って、せめてVTOLで言ったら「ハリアーとYak38」くらいには違っていないとまずいかなーと言うようなことを思わないでもない。というか、改造元が強かったせいでそれから大きく変更ができなかったせいで結果的に強い、と言うのは当人である私も余り気分が良くない。対局中に対局相手に話を聞いていると全部自分で作っているという人がたくさんいて、そのほうが明らかにすごいのに改造元のソフトが強かったせいで勝ってしまうというのは何か違う気がする。いっそデチューンした方がいいだろうかということも思うがそれもなんか違う気がする(前回の選手権で最下位だった「Mirage」の荒木さんは、全部自分で作って挑戦したから最下位だったわけで、それはむしろ評価すべき事のはずだ)。  SDT5に参加してその時のネタは「定跡のより良い選択手法の考案」ということだったのですが、それをするのが個人的にはだいぶ一杯一杯だったのですがやってみて「そういえば、ネタとして瑣末過ぎないか?」ということを参加してからなんか思ってきたわけです。  なのですが、「定跡を選択するときのよりよい方法を考える」というのは研究テーマとして十分に成立しうるのではないかということをSDT5に参加していて思った。それというのも、タヌキさんやカパックさんと話をしていてSDTみたいな時間が限られている勝負のときは序盤は定跡でノータイムで指して時間をセーブする、ということが有効であるということを教えていただいた。お二方に限らず結構色んな人から「時間攻め」という事を聞いて、そんな用語があるのかと勉強になりました。それなので定跡の使用がわりと重要である、ならば定跡のより良い選択方法を考える、ということも十分重要な研究テーマではないかということを思ったわけです。SDT5の文に書きましたが、2006年頃のモンテカルロ将棋の試行錯誤で、「現時点から10手先の局面を評価関数で評価して」という方法は、メインの探索のアルファ-ベータ法よりも優れてはいないようですが、それでも定跡の選択手法としては一考の価値があるのではないか、ということをSDT5に参加して改めて思いました。  それにしても、タヌキさんがSDT5の賞金300万円を全部寄付したとツイッターで見たときはつくづく衝撃的だった。そしてカパックさんがやねさんのほしいものリストのものを全部買ってプレゼントしたというのを読んだときも衝撃的でした。SDT5で彼らはタヌキのキグルミを着たり狼の被り物をかぶったりしていた。そんなような人がどうして誰よりも立派なことができるのだろうかということが改めて衝撃的でしょうがありません。私はおそらくはこういうふうな振る舞いは出来ないだろうと思わずにはいられません。そしてそんなんだから私は彼らに勝てないのだろうなということも改めて思いました。  あとは改めて思うのが「きふわらべ」の高橋さんの素晴らしさです。彼の著作物を読んでいて「数学というのはこんなにも面白いものだったのか」というのをほとんど初めて知った(学校で数学をちょっとやったというかやらされたけどあんまり面白いものだとそれまで思えなかった)。高橋さんこそまさに現代のラマヌジャンであるというようなことを個人的に思ってしまって「なんでこんなにすごい人があんまり評価されていない感じなのだろう」というか、「きふわらべ」の高橋さんはものすごい能力者だと思うのだけど、正当に評価されていない感じがして何なのだろうかということを思う。  これからのコンピュータ囲碁・将棋の開発について、示唆的だと思ったのがSDT5でHoneyWaffleさんと対局して話を聞いていたときのことです。HoneyWaffleさんが「現状では居飛車が優勢で振り飛車は不利とされているが、それは単に多数派が居飛車だからそうなっているだけでよく研究したら振り飛車はそんなに不利じゃない可能性がある」という事をおっしゃっていて、たしかに単純に強いソフトを作るとかよりも「振り飛車は居飛車に比べて本当に不利なのか?」を研究するということのためにコンピュータ将棋のソフトを作る、というようなことがこれからの囲碁・将棋のソフト開発では重要なテーマとしてなってくるんじゃないかという事を思います。有名なテーマかもですが、そもそも「先手・後手必勝なのか?」とか、そういうことがコンピュータ将棋のソフトを作るということからは導けるのではないかと思って、単純に強さを競うよりもそういうことをすることのほうがよほど大切なことなんじゃないかということをHoneyWaffleさんの開発コンセプトから考え込んでしまってしょうがないです。 ・ソフト名「ArgoCorse_IcSyo(あるごこるせいっしょ)」について  SDT5の時にこのソフト名を誰も読めなかったのでなんか悪いような気分になる。ただ、個人的にレースが好きなのでこんな名前にしたけど、レーシングチームはスポンサー名がチーム名に入るので「オートバックス・レーシング・チーム・アグリ」とか「伊藤忠エネクス・チーム・インパル」とか、正式名称が妙に長かったりする。それなので読むほうが適当に略して読むのが慣習的なのでそういうふうなことでいいかと思うことにしたい。ちなみに、富士スピードウェイとかは、コーナーごとにスポンサーが付いていて「コカコーラ・コーナー」「アドヴァン・コーナー」「ダンロップ・コーナー」「プリウス・コーナー」「パナソニック・コーナー」とか、割と読みやすい名前で良いけど、鈴鹿サーキットのシケインは「日立オートモティブシステムズ」がスポンサーになったので、解説者はシケインに言及するたびにこのスポンサー名を言わないといけないらしく「ただいま先頭車両が日立オートモティブシステムズシケインを通過しました」というようなことを毎回言うのがいかにも言いにくそうだ。だから「鈴鹿サーキットのシケイン名よりは読みやすからいいか」と思うことにする。 ・羽生竜王と井山七冠の国民栄誉賞受賞について  優れた棋士が評価されるのは大変に良いことだと思います。お二方とも偉大な棋士であることは明らかであると思うので順当ではないかと思います。  井山七冠は世界戦を重視されているという話を読んだので、先日のLG杯決勝も注目していたのですが、第二局を劇的に逆転勝ちして三局目に期待していたのですが、惜しくも敗れてしまって、今回は残念でしたがまた近いうちに世界を制してくれるものと個人的に期待していたら、その後のワールド碁チャンピオンシップでも決勝に進んで、さすがだと思っていたら今回も残念だったですが、また近いうちに世界を制してくれるものと個人的に期待しています。というか単に時間の問題だと思いますが。  また、それにしても藤井六段が強すぎますね。Twitterでよく書かれているとおりですが「アニメや漫画の主人公の設定だったらリアリティがないと言って編集に蹴られる」ようなことを現実にやってのけている様子はまさに驚愕です。 ・アニメ「りゅうおうのおしごと!」の感想  1月から将棋をテーマにしたライトノベル「りゅうおうのおしごと!」のアニメが放送されました。面白い作品だと思ったので以下に感想を書きます。 > りゅうおうのおしごと! 第一局「押しかけ弟子」  原作既読組。アニメ版はコメディ色が原作よりも強いと思った。原作はもうちょっと重っ苦しい感じ。ただ個人的には原作の重っ苦しい部分が好きなのでアニメ版がコメディによりすぎて重い部分の良さが薄くならないかなとちょっと心配している。  最初の八一が竜王戦をフルセットで竜王位を奪取するシーン。八一が勝ちまで読み切るが疲労と緊張で体が動かずに駒を持つことが出来ない、それどころか「発声しても着手は認められるが発声すら出来ない」というほどに追い詰められているところに、あいから水をもらうシーン。原作を読んでいるときはここまでヘロヘロになって死闘を戦っているということに衝撃を受けたものであるが、アニメ版では妙にあっさりとスルーしたなって感じなところがちょっと惜しい。そもそも「発声しても着手が認められる」というのが豆知識として妙に面白かった。「月下の棋士」を読んでいるときに、最終回で主人公が名人戦の対局で「早く指せ、俺が投了できないだろう」という台詞があり、私「そうか、投了って自分の番じゃないとできないのか」というのが豆知識として妙に面白かったのだが(作中では名人が自分の手番で対局を放棄して時間切れで主人公の勝ちになる)、「りゅうおうのおしごと」の原作の最初のシーンでも発声で着手が認められるということとその発声すら出来ない、という状態がなんだか妙に印象的だった。  あとは、あいが読むシーンも一話から出てきてすごく良かったと思った。原作を読んでいてあいが読むシーンがものすごく印象的だったのでこれをアニメ版ではどういうふうに描いてくれるのか、ちゃんと描けるのかというのが気になっていたのだが、素晴らしいと思う演出で、「日高里菜グッジョブ!」と見ながら心で思った。「ハチワンダイバー」においては「読む」という行為を「深い水の中に潜る」というメタファーで表現していたが、本作は漫画ではなくて小説である。その文章での表現をこういうふうにアニメでもちゃんと表現できることが本当に素晴らしいと思った。  個人的には原作では銀子が一番好きなキャラなのだが、アニメ化発表のときに銀子の声を金元寿子がやるとあったので、そのときにやっていた「妹さえいればいい。」の可児那由多の声の印象が強すぎて、「これが銀子になるのか、え、どうやって?」と思っていたのだが、アニメ版の一話を見ると「なるほどなるほど」となかなか納得する声で良かった。  原作のプロローグは大阪城公園の満開の桜の下で八一とあいが将棋を指すシーンで、それがすごく印象的で良かったのでアニメ版ではどうするのだろうかと思っていたらOPで使っていて「ああ、なるほど」と思った。 「将棋+萌え」の作品では「駒ひびき」が個人的に好きだったのだが、あんま受けなかったらしく3巻で終わったのが残念だなと改めて思う。20巻くらい読みたかった。 星4つ。 > りゅうおうのおしごと! 第二局「弟子のいる日常」  JS研の設立とか、あいの両親が来ることとか。1話を受けて話を展開してきた。歩夢との対局はほぼ原作通り。本作に限らず主人公が女の子とばっかり仲が良い、というなかで同性の友人がいるということが貴重であると思った。原作でももっと男性棋士を出してほしいということは思う。あとは、あいのアホ毛がなにげにいい味を出している。あのアホ毛の動きはアニメ版で初めて実現できたことで実に良い。研修会試験で全勝しろというところでの引きがうまい。「勝敗は関係ない」といっているのに勝敗にこだわりまくるところがなんか将棋指しっぽくて妙なリアリティが有る。 星3.5。 > りゅうおうのおしごと! 第三局「研修会試験」  研修会の入会試験。対局シーンが凄く良かった。2話の八一と歩夢の対局は演出で描いていたが、今回のあいの対局は、「将棋を指す」という行為をガチで描いていてそれでいて見応え充分だった。原作でも将棋を指すシーンを文章で表現するということが出来ていることがすごいと思ったが、アニメでも将棋を指すシーンをここまで見応えがある映像として描けていることがすごいと思った。  それにしても、原作を読んでいると銀子がすごく萌えるのに、アニメ版では銀子の萌えエピソードを結構まるまるカットしているっぽいのがファンとしては実に残念である。 星4つ。 > りゅうおうのおしごと! 第四局「もう一人のあい」  天衣登場。原作ではなんのためにいるのだかよく分からないキャラだと思っていたが、アニメでは非常に映えるなと思った。声が佐倉綾音というのも非常に良い。予想以上にロリ声だったのでもうちょっとボーイッシュな感じで演じてくれても良かったんじゃないかと思わないでもないが「ニセコイ」の春ちゃんみたいな感じでこれはこれで良いと思う。  新世界の将棋屋に行くエピソードは、原作では真剣をしていたのでアニメ版でどういうふうに描いてくれるのかと楽しみにしていたのだが、アニメ版では真剣をしないことになっていたのでちょっと残念な気はする。「タバコに千円札を巻きつけるんだ」とか、妙にディティールが細かくて新世界ならばほんとうに真剣をやっていそうなところがなんか面白かったのだが。個人的には天衣がタバコの箱を見せて真剣を誘うシーンが文章だとよくわからなかったのでビジュアルがついたらどうなるのだろうというのが見たかったのでそれが見れなかったのが残念なのだが。  ラストの引きが非常に良い。 星4.5。 > りゅうおうのおしごと! 第五局「天衣無縫」  あいVS天衣の対局シーンが見応えがあった。文字通りに目の色が変わるというアニメ版での描写が非常に面白い。そしてあいの瞳の色がもとに戻ることで負けを表現するところとかすごく良かった。今回の対局は演出と解説で見せていたが、これまでの将棋の対局シーンの見せ方が違っているところがすごいなと思う。天衣に負けて泣いているあいのシーンが印象的すぎて、日高里菜はうまいなーとまた思った。というかよく分からないが将棋指しと言うのはこういうふうに考えるものなのだろうかというのもよくわからなかったことなので負けることがここまで悔しいというそれが印象深かった。 星4つ。 > りゅうおうのおしごと! 第六局「オールラウンダー」  終盤の八一が将棋を指すシーンが凄く良かった。これまではあいが将棋を指すシーンに注力していた感じがしたが、今回の八一の対局シーンが実に見ごたえがあったと思う。原作だと将棋についての豆知識が結構はいっているのだが、アニメ版ではあまり深く将棋の話をすることが出来ないのがちょっと残念な気がする。今回のように振り飛車と居飛車の違いが、ってやるのが限界なのかなと。個人的には一手損角換わりについての解説がこれを読んで初めて意味を知ったのですごく面白かったのだが。それでもエッセンスは出ていると思う。 星3.5。 > りゅうおうのおしごと! 第七局「十才のわたしへ」  原作既読組は「はしょりすぎ」として評価が低いというのを見る前にTwitterで見ていたのだが、たしかに原作の重さからしたら「はしょりすぎ」には違いがないということは思うが、それでもワンクールのアニメでやるにはこれ以上は出来ないだろうということはわかるし、エッセンスは伝わる内容だったと思うからこれはこれでいいんじゃないかなと思った。  序盤の八一が読むシーンが格好良すぎた。あいが読むシーンとの対比で八一が読むシーンも原作では非常に面白いのだが、今回の八一の読むシーンを見ていて「こんなにこいつは格好良く読んだっけ?」とは思った。 星4つ。 > りゅうおうのおしごと! 第八局「はじめての大会」  マイナビオープン編。原作を読んでいると「これまでの総力戦」という感じがしていたが、アニメで見ているとどうしてもダイジェストな感じがして重さと言うか凄さがいまいち伝わりにくい感じがする。やっぱり天衣とか桂香さんのことをもっと掘り下げて描いてほしかったという気がする。そこの掘り下げが足りていないので見ていて軽く感じられてしまうのだ。 星3.5。 > りゅうおうのおしごと! 第九局「八月一日」  祭神雷のキャラが強くてすごく良かった。戸松遥が本気を出して演じたら視聴者がドン引きするような狂気を演じられると思ったが、視聴者が引かないようにマイルドに演じてくれたのかなと思った。  あいVS祭神の対局シーンがまた見応え充分ですごく良かった。王道ではあるが、あいの「あなたに私の竜王が取れますか!」のダブルミーニングのセリフが面白かった。 星4.5。 *********************** 2018/3/31追記  日付がドラフト時点の3/20だったので提出時点の3/26に変更。  ライブラリの選定理由を追記します。 「やねうら王」コードがわかりやすかったから。 「elmo,Qhapaq,tanuki-,Apery」評価関数が強いから。 以上です。