AobaZeroのアピール文書 AobaZeroは、AlphaZeroの将棋の実験の追試を目標としたプロジェクトです。計算資源 の提供を世界中のユーザにお願いして棋譜を生成している点が特徴です。先駆的プロジェ クトである LeelaZero (囲碁) や LCZero (チェス) のようにソースコードを公開していま す (注1)。 今年の選手権には、昨年よりも多くの棋譜を学習して臨みます (注2)。棋譜生成数は約 600万 (昨年 126万) に達し、プロジェクト開始から約1年でようやくAlphaZeroの実験で 生成された棋譜の約4分の1が集まりました。毎日約24マシンが参加して、約1万棋譜を 作成しています。参加して下さっている皆様に感謝いたします。今年の選手権にはまた、 ニューラルネットワークの計算をさらに高速化して臨む予定です。この成果は近日中に 公開予定です。 floodgate (注3) のレーティングは今、3000点 (昨年 2500点) に達しました。今年こそ 予選通過を目指します! 注1:URL: https://github.com/kobanium/aobazero, OpenCLを用いてニューラルネット ワークの計算を行う部分にはLeelaZeroのソースコードを含む 注2:山下宏、保木邦仁、小林祐樹、AobaZeroの紹介と観戦記、 CSA 会誌、vol. 31, 2020年 (発行予定) 注3:コンピュータ将棋連続対局場所 (floodgate), URL: http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/floodgate.html 付録: ゼロから学習した将棋人工知能が将棋の知識を獲得していく過程が徐々に見えはじめて きました。結果として、一般的に指されている戦型や囲いをほぼ発見してしまったかの ように見えます。 確認された囲い:雁木、矢倉、美濃囲い、高美濃囲い、銀冠、左美濃、中住まい、右玉 確認された戦型:雁木の居飛車、相掛かり、横歩取り、後手四間飛車、角換わり棒銀、角換わり早繰り銀、角換わり腰掛け銀 穴熊囲いと金無双は未確認です。先手番では振飛車は指しませんが、後手番では四間飛車を好んで指します。最初は金を△32金と上がる振飛車でしたが、今では△52金と美濃囲いに組む形を見つけています。最近は相掛かりや角換わりを指しており、これはAlphaZeroで公開された100棋譜と似ています。 棋力の推移や現在の棋譜生成速度などはこちらのページで公開しています。 http://www.yss-aya.com/aobazero/ ノイズなしの自己対戦のサンプルはこちらのページで公開しています。 http://www.yss-aya.com/aobazero/no_noise/sample.html